Give Me Smile―新撰組と氷姫―
「……副長に、茶を淹れて持っていってくれ」
「…………は、はい…」
長い沈黙の後、斎藤さんは一言それだけ言うと、スタスタとまた戻って行った。
……もしかして、それだけ?
あたしは持っていた食器を落としそうになりながらも、最後の一枚を洗った。
まだ斎藤さんが、こちらに目を光らせていたとも知らずに──。
***
コポコポ…と湯飲みにお茶を淹れる。
無論、副長─土方さんに、お茶を持っていく為だ。
お茶を淹れて、少し熱い湯飲みをお盆にのせて、土方さんの部屋を目指す。
…でも、困った。
…土方さんの部屋って、一体何処にあるのだろうか。