Give Me Smile―新撰組と氷姫―
大広間までなら、わかるんだけど…。
困った。
早くしないと、ぬるくなってしまう。
「あれ?千春ちゃん?」
「…藤堂さん」
どうしたの?と尋ねてくれる。
良かった、助かった。
これで土方さんの所へ行ける。
「……あの、土方さんの部屋、って…」
「ああ、土方さんの部屋ね?それなら、この廊下を真っ直ぐに向かって、突き当たりを左に曲がったら着くよ」
「………ありがとうございます」
お盆に湯飲みを載せたまま、丁寧にお辞儀をする。
藤堂さんは少しびっくりしているようで、慌てて手をブンブン振っている。
「いや、いいよ!気にしないで!!」
「……」
もう一度、ペコリと頭を下げて、あたしは土方さんの部屋へ向かった。