Give Me Smile―新撰組と氷姫―
ゆっくり、出来るだけ足音を立てないように、井戸へと近づいていく。
あともう少し、ってところで…。
「早いな、神崎。朝飯の用意か?」
「………はい」
土方さんが、クルリとこちらを振り向いた。
……もう少しで、井戸へ近付けたのに。
ま、いいや。
あたしは井戸で水を汲んで、顔を洗う。
それから、持っている手拭いで顔を拭いた。
「………」
さっきから、土方さんがあたしに視線を向けている。
何なのかはわからないけど、見られているのは好きじゃない。
「……あの、」
「……!」
気になるから、土方さんに直接聞いてみる。
勿論、怪訝そうな表情もプラスで。