Give Me Smile―新撰組と氷姫―
「それじゃ、先に行くから!」
「……あっ、…」
あたしの返事を聞かずに、スタスタと進んでいく藤堂さん。
返事を聞かないのは、きっと断られる、って分かっているからだろう。
(勿論、すぐに断ろうとしたのに…)
逃げ足が速いのか、もう大広間に行ったみたいだ。
あたしもお膳を抱えると、また腕が軽くなる。
「………あの」
「あ、千春さん。僕も運ばせて下さい!」
今度は、沖田さんに取られ、少しため息を吐きたくなる。
だけど、それを堪えて。
「……いえ、結構です」
拒否の言葉をはっきりと告げたのに、沖田さんは相変わらず笑顔のままだ。