Give Me Smile―新撰組と氷姫―
桜並木の中で
ある日の夜のこと。
20代前半くらいだと思われる1人の青年が、暗い桜並木の中を歩いている。
「…土方(ヒジカタ)さんったら、人使いが荒いんですよ!」
どんな仕返しをしましょう…、とブツブツ文句を言いながら。
今日はちょうど満月で、いつもは暗い夜道も、少し自分の影が見えるくらい明るい。
今日も、夜桜が綺麗ですね。
「…あれは…?」
彼が夜桜見物をしていると、一本の桜だけがピンクに輝いている。
気になって、桜に近づいてみた。
「………これは…!天使、ですかね…?」
───桜にもたれかかるように、眠っている1人の少女がいた───