Give Me Smile―新撰組と氷姫―
もし、神崎が間者であれば俺達に何かしら接触を図ったはず。
だが、神崎は逆に人との関わりを避けていた。
見ていて不自然過ぎるくらいに。
俺はそういう事も含めて副長に説明した。
「……どうでしょうか、副長」
「…そうだな、お前等が言うのも一理あるかもしれねぇな」
長いため息を吐き、副長が再び考え込む。
「最近また、長州の奴らが不穏な動きを見せている。神崎が黒なら─…」
「千春さんは、動きますよね。ですが、何も起こらなかった場合、千春さんを白だと認めてくれますか?」
黙っていた総司が話に加わり、副長は一瞬面食らったようだが、一呼吸置いて頷いた。
「あぁ、認めてやるさ」
「それ、忘れないで下さいね」
頷いた、のはいいのだが…副長と総司の関係は少し複雑になったような…。
とりあえず、俺は─…。
「よし、解散だ解散。肩が凝ってしょうがねぇ」
「同感です。疲れました」
俺は、副長達の指示に従うことだけを考えよう─…。