Give Me Smile―新撰組と氷姫―
異変と日常
***
あの時、話していたのは全てが本当の話ではない。
あたしは臆病者だ。
そして、とても弱い。
だから、自分を守る為に嘘をつくのかもしれない。
「千春さん、失礼します」
「…あ、はい」
話が終わったのか、沖田さんが部屋に戻ってきた。
もう、あたし…殺されるんだよね。
怖くないわ。
きっと。
沖田さんは静かに部屋へ入ってくると、あたしの目の前に腰を下ろした。
「千春さん」
「……はい」
「甘味、食べに行きましょうか」
「………………はい?」
すごく、すごーく真面目な表情をしていた沖田さんが、いつものようににっこりと笑う。
え、何?
どういうこと?
あたし…殺されるんじゃなかったの?