365日+1日、飾らない言葉をさがして。< 短編集 >
9、恋忘れ貝〜忘れられるものじゃないもん〜
大切な人を自然の力にて失って、
もう自分自身
生きているって実感がない。
大好きだった海も
今は一番嫌いなところになってしまった。


でも今日、
自転車で海にきてみた。
見ているだけで涙が出ていたのに
今日は何故か優しい気持ちになっている。


波打ち際まで行ってみようかな?
彼に触れられる
そんな気がして海水に触れてみた。


「純希(あずき)…。」


また波がよせてきて
貝殻が私の足に当たる。
そんなこと海にいたら
よくあることだけど…
今は、
その貝殻を拾ってみた。
手のひらにスッポリおさまる大きさに
かわいさを感じて
海水でキレイにしてから
海に見せてみた。


「純希…
私、忘れない!!
でも…
少し忘れちゃうこともあるかもしれないけど…
ずっと二人一緒だよ…。

私、
今日から生まれ変わるね。
だから
更にパワーアップした私を純希、見ていてね。」


貝殻を大切に握りしめながら、
ゆっくりと歩きだすと


<瑠璃の笑顔って最高!!
みんなに笑顔をプレゼントしてあげてな!!>


純希の声が聞こえた


私は振り返り
純希にむけて笑顔になった。





end
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