365日+1日、飾らない言葉をさがして。< 短編集 >
望蒼が
どんな顔で私を見ていたか、
そんなこと関係なくって…
家に逃げるように帰ってきた。


おとなりさんだもん。
これからイヤってくらいに顔を合わせる。

そんなこと私に考える余裕なんてなくって

望蒼が家への出入りが自由に出来ていたことも忘れていた。

私がベッドに座った時に
ものすごい勢いで階段を登ってくる音が家中に響いていた。


「 優奈! 」


ドアをノックもしないでズカズカ入ってくる、望蒼。


「 オレは久しぶりに会った優奈が、
すごく綺麗になってるし…
オレのこと忘れているみたいだし…
他に男がいるって思った。
だから…。 」


「 はぁ?
他にって?
私望蒼の彼女じゃないけど? 」


私は顔もみないまま
とりあえず思っていることを吐き捨てた。

望蒼は私の前にゆっくり正座をして


「 オレはずっと優奈が好きなんだ。
だからオレの知らない間に綺麗になってた優奈をみて、
あんなことを言ってしまったんだ。 」


「 私を好き?
ずっと意地悪してたくせに?
三年間一度も手紙くれなかったくせに?
私な何度も手紙だしたのに…。 」


私の言葉に頭をかきながら…。


「 手紙は何枚も書いたよ。
でも恥ずかしくって出せなかった。
ずっと意地悪してたのは好きだからだよ。 」


私はまっすぐ見つめて伝えてくれる望蒼に、
私の知ってる望蒼を見つけた気がした。

真剣に伝えてくれている望蒼を笑ってしまったんだ。
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