365日+1日、飾らない言葉をさがして。< 短編集 >
14、ボク…しちゃいました。
いつもの時間。

いつもの駅。

いつもの二両目。

この駅から学校まで電車に揺られて20分。

ボクの大切な読書タイムなんだよね。


ボクが乗った次の駅

どきゅん!!

一目惚れだった。
何かが身体に刺さった。


黒いストレートの黒髪。
黒くて大きな瞳。

あの制服は
ボクと同じ高校だ。

あのこ
名前…知りたいなぁ。

ボクは気がついたらストーカーのようについていった。


「 さあや。 」


ボクのあこがれのキミが振り向き
名前を読んだ女の子に笑顔で手を振る。


さあや!
頭の中にメモした。

さあや…かわいいなぁ

ボーッとしながら歩いていると
耳が痛くなるくらいのデカイ声で呼ぶヤツがいる。


「 優也!
何回も呼ばせんなよ。
うん?
顔赤いぞ!
体調悪いんか? 」


ボクの人生において初めてのこと。
この大切な一目惚れを
悪友、翼にぶち壊された。


「 大丈夫だよ。
微熱あるけどな平気だよ。
でも、風邪ひいたかな? 」


わざとらしく
咳をしてみたりする。


「 何?
優也、バカでも風邪ひくんだ? 」


「 ちげぇよ。
バカは風邪ひいたことに気がつかないんだよ!! 」


ボクはおもいっきり背中を叩いた。

痛がる翼を置き去りにして教室へむかった。
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