365日+1日、飾らない言葉をさがして。< 短編集 >
「 希羽、見てごらん。
ここはパパが大好きなところなんだよ。
車くんたち、いっぱい走ってるね。
ここはママにはナイショだからね。
パパと希羽との秘密だよ。 」


小さな女の子を抱っこしながら話している姿はパパだった。


希羽…??


聞き違いじゃない!
稜も、
もしかしたら後悔していたのかもしれない。


違う意味で稜は、
私を手に入れたんだ。


もう泣かない。
稜も後悔していたと思いたい。

私も進まなきゃ。

二人には見つからないように、
私は自分が歩いてきた方向へ戻った。


「 希羽、大好きだよ。 」


もう稜を追いかけない
過去ばかり考えない。
ちゃんと生きていかなきゃ。

女の子に言ってる言葉を背中に、
私は泣きそうになった。


神様、
ありがとう。


もう振り返らない、
前に歩くからね。





end
< 52 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop