365日+1日、飾らない言葉をさがして。< 短編集 >
そろそろチーズケーキが作りたい。

でも、
叶多を待っている間は私もガマンしなきゃ。


自分のためだけに作っている夕食。

叶多もカレーが大好きだったなぁ。
今夜も
美味しくできているんだけどなぁ、叶多…。
二人の写真を見つめながら、つぶやいていた。


「 ただいま。 」


一年という時間が過ぎてたのに、
朝普通に出掛けたように帰ってきた。


「 おかえりなさい。 」


私も普通に口から言葉が出てきた。


「 チーズケーキ買ってきた。
詩季の味には勝てないけどさ、
けっこう気に入ってるんだよね。 」


二人で食べるには大きいんじゃないってくらいの、
1ホール。


「 詩季、
またオレのためだけにチーズケーキ作ってくれるよな? 」


「 はい。 」


涙でいっぱいの目をしたまま、
叶多に抱きついた。


「 オレ詩季しかいらないから、
今までのオレじゃないから…
ついてきてくれるよな? 」


私は叶多の腕の中で安心して泣いている。

やっぱり、この腕の中がいい。


「 私も叶多じゃなきゃ、
いらないもん。 」





end
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