365日+1日、飾らない言葉をさがして。< 短編集 >
「 幸姫…
ちょっとだけやん、離れてるんは…
正月休みには
オレ東京に行くから、
絶対に行くから。 」


幸姫は大きく頷いた。


「 ずっと離れてたんやから、
あとちょっとくらい大丈夫やろ? 」


オレは自分にも言い聞かせるように言葉にした。

両手で隠していても涙が流れているのがわかる。

顔をかくしているから、
そのまま抱き締めて耳にキスをした。


「 幸姫…愛してる。 」


その言葉で
さらに泣き出してしまった幸姫。
可愛くって
たまらなくて
男のオレでも胸がきゅんとした。


「 二人で今の気持ち忘れんようにしようなっ。
こんなに離れたくない気持ちを…なっ! 」


新幹線に乗り込む幸姫を
オレ、男なのに
泣きそうになりながら
ムリして笑顔で手を振った。


二人の気持ちを確認してしまったからには、
幸姫を東京なんかに帰したくなかった。

オレは幸姫を守っていくんだ。
そのために
こんなに切ない時を越えなきゃいけないんだ。


「 俊希くん…
愛してるの。 」


閉まるドアから聞こえた
幸姫の声に
オレは大きく頷いた。


新幹線が見えなくなってから、


[ 大丈夫
離れていても気持ちは
そばにいるからなっ。 ]

とメールをしたら、
涙がこぼれた。





end
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