365日+1日、飾らない言葉をさがして。< 短編集 >
几帳面で忘れ物なんてしないタイプの松戸くんが、
「 初富( はつとみ )数学の教科書貸して! 」
ホントはめちゃくちゃ嬉しいくせに、
嫌々な顔して渡した。
一時間後に戻ってきた教科書には
小さく
< 教科書ありがとう助かったよ。 >
大切に消さないでおこう。
また
「 初富、数学の教科書貸して! 」
「 その次、うち数学だから早く返してね。 」
渡したときに一瞬触れた手のあたたかさにドキッとしたんだ。
約束通りに戻ってきた教科書には、
< 手が冷たかったよ。風邪ひくなよ。心配だから。
それと…そろそろみつけてくれないかな? >
そろそろみつけてくれないかな?
私はその言葉に教科書の全てを開いて確認した。
もう授業が終わっているページから、
赤ペンで○をしている文字を1つ見つけた。
それから何個か見つかって…
繋げて読んでみた。
<け、い、が、だ、い、す、き。 >
私は教科書を抱きしめ喜んだ。
私は返事をしなきゃ!と青ペンで○をつけた。
この教科書が戻ってくる一時間後。
松戸くんとの恋の勉強がはじまるんだね。
初富圭衣 ( はつとみけい )
これから、恋の一年生になります。
松戸くん一緒に勉強していこうね。
end
「 初富( はつとみ )数学の教科書貸して! 」
ホントはめちゃくちゃ嬉しいくせに、
嫌々な顔して渡した。
一時間後に戻ってきた教科書には
小さく
< 教科書ありがとう助かったよ。 >
大切に消さないでおこう。
また
「 初富、数学の教科書貸して! 」
「 その次、うち数学だから早く返してね。 」
渡したときに一瞬触れた手のあたたかさにドキッとしたんだ。
約束通りに戻ってきた教科書には、
< 手が冷たかったよ。風邪ひくなよ。心配だから。
それと…そろそろみつけてくれないかな? >
そろそろみつけてくれないかな?
私はその言葉に教科書の全てを開いて確認した。
もう授業が終わっているページから、
赤ペンで○をしている文字を1つ見つけた。
それから何個か見つかって…
繋げて読んでみた。
<け、い、が、だ、い、す、き。 >
私は教科書を抱きしめ喜んだ。
私は返事をしなきゃ!と青ペンで○をつけた。
この教科書が戻ってくる一時間後。
松戸くんとの恋の勉強がはじまるんだね。
初富圭衣 ( はつとみけい )
これから、恋の一年生になります。
松戸くん一緒に勉強していこうね。
end