渋谷33番
 翌朝、朝刊をデスクで読んでいると電話が鳴った。寺田だった。

「がんばって調べたからね」

「結果は?」

「ノンノン。まずは感謝の言葉をのべよ」

 苦笑しながら植園は、
「寺田様、ありがとうございました。今度おごらせていただきます」
とばか丁寧に感謝を表した。

「うむ、苦しゅうないぞ。・・・さて、鑑定結果だけどね」

「うん」
 ペンを手に耳に意識を集中させる。

「切手からは1名のDNAを採取。それを照合機にかけたところ、松下野々香のものと一致」

「・・・」
ペン先が紙にその名前を記す。

「鑑定書は明日には送るから。以上、もう眠いから帰るわ」

 適当に挨拶をして、植園は受話器を置いた。

 視線が紙から離れない。



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