渋谷33番
 あの封筒についていたのは山本雪乃の言うとおり、松下野々香のだった。これは、どういうことなのだろうか?住所を山本が書き、切手は松下が貼ったという事が意味するのは?

 考え込むように口元に手をやっていると、
「おはようございます」
と吉沢の声が後ろでした。

「おはよう」
そちらを見向きもせずに植園は答えると、
「吉沢くん、調べ室へ」
と、立ち上がり歩き出した。

 吉沢も、鞄を自分の机に置くと足早についてくる。


「結果が出たんですね?」
取り調べ室の扉を閉めると、吉沢は確かめように言った。

「これ」
先ほどのメモを投げ渡す。

「DNAが出たんだ・・・、松下野々香?」

「これでもうひとり容疑者が増えたことになるわね」
煙草を吸おうとして、自分の机に置き忘れていたことに気づき舌打ちをする。

「つまり、松下野々香がホンボシで、山本雪乃はハメられたということですね」



 


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