渋谷33番
昨晩以来何も口にしてなかった和美は、『天ぷらうどんセット』を注文した。
「元気してたの?」
ようやく母親が言葉を発した。
「うん」
「少しやせたんじゃない?」
心配そうに言う母親を、
「おい」
と、父親がたしなめた。うなだれる母親を叱るような目で見てから、父親は和美に視線を移した。
「お前は自分が何をしたんか分かってるんか?」
黙ってテーブルに貼ってある『季節限定メニュー』を見つめた和美に、父親は続けた。
「2回も刑務所に行くやなんて、人として恥ずかしくないんか?しかも同じ罪やがな。1回目出た時に、2度とやらないと泣いたのは嘘やったんか?俺や母さんがどんな思いでいたのか分からんのか?」
ずっとこの日に言おうと決めていたのだろう。普段は無口な父親にふさわしくないくらい流暢に責めた。
「元気してたの?」
ようやく母親が言葉を発した。
「うん」
「少しやせたんじゃない?」
心配そうに言う母親を、
「おい」
と、父親がたしなめた。うなだれる母親を叱るような目で見てから、父親は和美に視線を移した。
「お前は自分が何をしたんか分かってるんか?」
黙ってテーブルに貼ってある『季節限定メニュー』を見つめた和美に、父親は続けた。
「2回も刑務所に行くやなんて、人として恥ずかしくないんか?しかも同じ罪やがな。1回目出た時に、2度とやらないと泣いたのは嘘やったんか?俺や母さんがどんな思いでいたのか分からんのか?」
ずっとこの日に言おうと決めていたのだろう。普段は無口な父親にふさわしくないくらい流暢に責めた。