渋谷33番
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留置所では『運動』とよばれるプログラムが毎朝ある。
朝9時くらいから数部屋ごとに呼ばれて運動場へと移動する。そこは20畳ほどのコンクリートに囲まれた場所で、そこで爪を切ったり煙草を吸うのだ。
もちろん本当に運動している人なんてひとりもいない。天井には金網がはりめぐらされ、そこから警察署の建物と四角形の小さな空が見える。
「あ~、生き返るわ!」
コンクリートの壁にもたれるように座って煙草をふかした和美がうれしそうに言った。
「タバコ ヨクナイヨ」
けむたそうに顔を背けながら、キャシーが同意を求めるように雪乃を見た。
「ほんとですよ、煙草って百害あって一利なし、って言いますよ」
雪乃も目を細めて言った。
朝9時くらいから数部屋ごとに呼ばれて運動場へと移動する。そこは20畳ほどのコンクリートに囲まれた場所で、そこで爪を切ったり煙草を吸うのだ。
もちろん本当に運動している人なんてひとりもいない。天井には金網がはりめぐらされ、そこから警察署の建物と四角形の小さな空が見える。
「あ~、生き返るわ!」
コンクリートの壁にもたれるように座って煙草をふかした和美がうれしそうに言った。
「タバコ ヨクナイヨ」
けむたそうに顔を背けながら、キャシーが同意を求めるように雪乃を見た。
「ほんとですよ、煙草って百害あって一利なし、って言いますよ」
雪乃も目を細めて言った。