渋谷33番
「切手のDNAにしても、もし、山本雪乃をハメようとするならば、そんな分かりやすい証拠を残すでしょうか?緻密な策略にしては、そのへんがお粗末な感じがします」

「でも失踪したのは確かだし、彼女を捕まえないことには何も分からないのよね」
煙草に火をつけながら、疲れたように言う。

「もし、松下野々香が見つからなければ、山本雪乃は不起訴になりますか?」

「冗談じゃないわよ!山本雪乃の部屋からは覚せい剤が見つかってるのよ、それも大量に。販売では罪に問えなくても、不法所持では十分に立件が可能じゃないの。ハメられたと主張しているのは本人だけなのを忘れないで。どんなことをしてでも、何らかの罪は受けてもらうわ」

 そう吐き捨てるように言うと、植園はまだ長く残っている煙草を乱暴に灰皿に押し付けた。


___あぁ、この人は山本雪乃のような人間が嫌いなんだな

 吉沢は深く理解をした。





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