渋谷33番
吉沢は植園の左後ろに座り、被疑者を見た。
彼女はまだ、松下野々香が失踪したことも知らない。DNAについては高橋とかいう弁護士に教えてしまったが、紙袋の指紋についても知らされていないだろう。
自分のような下っ端がそれを伝えることができないことが悔やまれる。
___これじゃあ、まるで山本雪乃の味方みたいじゃないか
自分自身でも意外な感情に、吉沢は狼狽した。
___『被疑者を疑え』
何度も叩き込まれた言葉を繰り返す。
それでもすぐ近くに座っている彼女を見ると、なぜかかわいそうだという思いが頭をかすめる。
植園は彼女が犯人であることをいまだ確信しているようだった。
経験の浅い吉沢が反論するのははばかられるが、彼は彼女が無実ではないかと思っていた。
彼女はまだ、松下野々香が失踪したことも知らない。DNAについては高橋とかいう弁護士に教えてしまったが、紙袋の指紋についても知らされていないだろう。
自分のような下っ端がそれを伝えることができないことが悔やまれる。
___これじゃあ、まるで山本雪乃の味方みたいじゃないか
自分自身でも意外な感情に、吉沢は狼狽した。
___『被疑者を疑え』
何度も叩き込まれた言葉を繰り返す。
それでもすぐ近くに座っている彼女を見ると、なぜかかわいそうだという思いが頭をかすめる。
植園は彼女が犯人であることをいまだ確信しているようだった。
経験の浅い吉沢が反論するのははばかられるが、彼は彼女が無実ではないかと思っていた。