渋谷33番
 自分が感情的になっているのを自覚していたからだ。

 そして、それを部下である吉沢にとがめられてしまった。

 いつもクールで隙の無い植園にとって、それは大きくプライドを傷つけるものだった。

「間違いないのに」

 どうしても雪乃犯人説から抜けだせずにいる。自分の直感が間違っていることを認めたくはなかった。

 しかし、あらゆる証拠からその確信が少しずつ揺らいでいるのが分かる。

 山本に対してのあの言葉は厳しかった、と今なら分かる。

 いらだちをぶつけた事も、自覚していた。


___自分で自分がコントロールできない



 そんな事、初めての経験だった。





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