渋谷33番
「うちが悪いんやない。みんなが悪いんや」

 汗がこめかみから流れた。

 このイライラをおさめるだけだ。

 この1回だけ・・・。

 今回だけやったらもう2度としない。


 そんな言い訳を繰り返しながら、和美は表通りに出た。

 覚せい剤を打つためには水が必要だった。

 コンビニでミネラルウォーターを買えば、後はトイレででも打てばいい。


 そうすれば快楽に身をゆだね、この苛立ちも少しはおさまるだろう。


___さっき入ったコンビニはどっちの方向だったか・・・


 周りを見回した和美の目が、ある一点で凍りついたように止まった。




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