渋谷33番
そして、深く息を吐き出すと、
「井口です。井口遥子です」
と、言った。
「ありがとう。井口さんね。私たちは、今、松下野々香さんの失踪について調べています。さっき中年の刑事さんにメールを見せたでしょう?もう一度、私たちに見せてもらえないかしら」
実際は山本雪乃の事件なのだが、少し言い方を変えた。
植園は笑顔を顔にはりつけると、目線を携帯電話にやった。
井口は、その時自分が携帯を手にしていることに初めて気づいたかのように驚いた顔をしてそれを見つめた。
極度に緊張しているのだろう。
これが演技だったとしたら、見事なものだ。
「野々香が学校を休んでて、それで、私心配で何度もアパートにも行ったんです。でも、いなくって・・・」
不安からか、早口で井口は話した。
「井口です。井口遥子です」
と、言った。
「ありがとう。井口さんね。私たちは、今、松下野々香さんの失踪について調べています。さっき中年の刑事さんにメールを見せたでしょう?もう一度、私たちに見せてもらえないかしら」
実際は山本雪乃の事件なのだが、少し言い方を変えた。
植園は笑顔を顔にはりつけると、目線を携帯電話にやった。
井口は、その時自分が携帯を手にしていることに初めて気づいたかのように驚いた顔をしてそれを見つめた。
極度に緊張しているのだろう。
これが演技だったとしたら、見事なものだ。
「野々香が学校を休んでて、それで、私心配で何度もアパートにも行ったんです。でも、いなくって・・・」
不安からか、早口で井口は話した。