渋谷33番
「まぁ・・・」和美は腕を組んだ。
「キャシーも執行猶予つくやろうな。裁判はしんどいけど、反省してるってことを演じるんや」

「ワタシ ワルクナイヨ!」
キャシーが和美を制すように言った。

「知ってるって。でもな、そこでもめたら大変やで。世の中には不条理っていうものがまかり通ってるんや。しんぼうし」

「イミワカラナイ。ワルクナイノニ アヤマルノ。フジョーリッテ、ナニソレ」

 和美は分かった分かったと身体をそらしながら、
「でも、うちらはここにいるんや。何が正しいか、ってことよりもどうやったら早く抜け出せるかを考えたほうがええ。そう言いたかっただけやがな」
と諭した。

 まだ何か言いたそうなキャシーだったが、その言葉に勢いを失ったのか黙りこんだ。

 そんな2人のやりとりを見ながら、雪乃はひざをかかえたままゴロンと横になる。

「正義ってむずかしいですね」

「なにを他人事みたいに言ってるんや。ほんまによう分からんやっちゃな」



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