渋谷33番
「大丈夫でしょうね?死体が出てきたらやっかいよ?」

「心配にはおよびません。なんたって鋼鉄屋のヤクザですから。今ごろ骨まで溶けてしまってます。それにお嬢様には確実なアリバイがあります。留置所という、ね」
高橋が言った。

「ならいいけどさ」

「それより、お嬢様。聞いておきたい事があります」

「ん?」
工藤に飲み物を取りに行かせながら、雪乃は答えた。

「どうして切手から松下野々香のDNAが検出されたんですか?実際に覚せい剤を送っていたのはお嬢様なのに」

「あぁ、そのこと」
そう言うと雪乃はほくそ笑んだ。
「覚せい剤の受け渡しは郵便でしょ?だから、買う人たちが自分で貼ってくれてたわけ。そうする事で封筒にはDNAや指紋が残る。万が一パクられた時のための予防線ってやつ。それがあるから、容疑は薄くなるって見込んでたの」

 工藤がコーラを手渡しながら、
「それじゃ、僕らが書いた遺書は間違ってなかったんだ!」
と高橋にうれしそうに言う。




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