渋谷33番
 一瞬で顔まで暑くなる。それは、恥ずかしさからではなく、まぎれもない怒りの感情だった。

 和美は頭についた土をはらいもせず、一目散に校舎に向かって走り出した。
 上靴にかえることもなく、階段をのぼり教室に飛び込む。

 すぐさまランドセルを手にすると、きびすを返す。

「岡!」
階段から体育の先生の声が聞こえ、足音がのぼってくる。

 和美は逆側にある階段を駆けおりると、そのまま校門を飛び出した。





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