渋谷33番
___さて、どうしよう

 とりあえず家の方に向かって歩き出したが、母親になんて説明してよいのか分からない。

 トボトボ歩いていると、T字路にさしかかった。右側では道路の舗装をしているらしく『工事中』の看板がかかっている。

 少し早い休憩なのだろうか、工事現場には人の姿はなかった。


___私が悪いのかな

 一瞬頭に浮かんだ感情を、すぐさま首をふって否定する。

 ふと見ると、工事現場の隅に小型のブルドーザーがぽつんとあった。

「おまえもひとりなの?」
まるでそれが置き去りにされたかのように見え、黄色いボディに手を置くと驚くほどの熱さにすぐに手を離した。

 反対側にまわると、ドアが開きっぱなしになっていた。

 ムクムクと好奇心がわきあがってくるのが分かる。


< 40 / 204 >

この作品をシェア

pagetop