渋谷33番
 ポールを跳ね飛ばし舗装中の道に入ってゆくと、ブルドーザーはさらに大きく跳ねた。

 エンジン音に耳が痛い。


 ランドセルが開いたままのドアからすべるように落ちてゆく。

 車体はまっすぐ進み、目の前にあるT字路の壁に向かっている。

「誰・・・誰かぁ!」
和美の声はエンジン音にかき消されていたことだろう。

 どんどん壁が近づいてくるのを、ただただ和美は見ているしかできなかった。


 そして、大きな衝撃音が街に響きわたった。


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