流れ星を探して
最悪な1日だった。

教科書は忘れていたし、数学の宿題も、すっかり忘れていた。

蘭は大きなため息をつきながら、職員室のドアを閉めた。

担任の村川に、こっぴどく怒られてしまった。

「将来のことを考えているのか?」

そう言われると、返す言葉がない。

考えていないわけではない。

でも、どうしたらいいのかわからないのだ。

やりたいこともない。

無心に打ち込めるほど、好きになれるものもない。

かと言って、駅前やコンビニの駐車場で地べたに座り、意味もなくたむろする高校生にもなりたくない。

私、本当にどうしたいんだろう。

落ち込みながら蘭は教室に帰り、鞄を持って校舎を出た。

やっぱり自然に足が向かうのは、海岸通りの防波堤だ。

蘭はいつものように、足を投げ出して座り込んだ。

蘭より少し歳上くらいの若い恋人達が、岩場でふざけながらはしゃいでいる。

しっかりと2人の手が、繋がれているのが見える。

まだ誰かと付き合ったこともない蘭には、結婚なんてまだまだドラマの中だけの話だ。

私もいつか、結婚して子供を産むのだろうか。

想像もできない。



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