流れ星を探して
クラスメートの中には、今付き合っている彼氏と、大学を卒業したら結婚するなどと言っている女の子もいるが、蘭にはいまいちピンとこない。

「授業中の昼寝だけならともかく、宿題もやらない、教科書も忘れて、一体何をするために学校に来てるんだ?今日は特におかしいぞ」

村川のあきれた顔が目に浮かぶ。

今日は特におかしいって、いつもおかしいみたいに言って……。

アイツのせいなんだから。

蘭はピーターの顔を思い浮かべた。

あれから私は、なんだかおかしい。

宿題をするのを忘れたのも、教科書を忘れたのも、今までにないことだ。

あれから、何も手につかなくなってしまって……。

「アイツのせいなんだから」

思わず蘭は、声に出して言った。

「誰のせいなの?」

耳元で声がして、蘭はビクッとして横を向いた。

「あ……」

蘭はその瞬間、固まってしまった。

ピーターだ。

そこには、昨日と同じ無邪気な笑顔で、ピーターが立っていた。

「座っていい?」

ピーターが少し低い声で聞いた。

子供の声と、大人の男性の声が混ざったような、少し特徴のある声だ。

だが耳障りな声ではなく、無邪気な少年のような顔と、がっしりとした大人の体つきをしたピーターに、よく合っている声だった。

「OK?」

ピーターはちょっと首をかしげて、蘭の顔を見た。



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