流れ星を探して
蘭はゆっくりとした足取りで、学校を出た。

校庭では、下級生が部活の練習をしている。

野球、サッカー、陸上、テニス――。

掛け声や、明るい笑い声が聞こえてくる。

蘭はフェンス越しに、練習風景を見つめた。

みんなが、いきいきとして見える。

泥だらけになりながらボールを追い、汗だくになってトラックを走る。

私には夢中になれるほど、好きなものもない。

蘭はふと思った。

小さい頃は、ピアニストになりたい、歌手になりたい、看護師になりたいなどと、それなりに夢があった。

心と体が成長するにつれ、そんな夢はどこかにいってしまった。

目の前で、一生懸命に練習に打ち込んでいる下級生を見て、蘭はうらやましいような、気恥ずかしいようなそんな気持ちになって、フェンスから離れた。

フェンス沿いの道をしばらく歩くと、突然視界が開けて海岸通りに出る。

長い防波堤が、はるか向こうまで続いている。

防波堤は所々切れていて、そこから海へと降りる石段がある。

石段の向こうにはゴツゴツとした岩場があり、岩場と海の境目は青とも緑とも言えない、鮮やかな色が広がっていた。



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