流れ星を探して
蘭は少し意外な気がした。

あんなに屈託なく笑うピーターに、暗い影は似合わないからだ。

「送るよ」

「えっ?」

「もう、7時だよ」

そういえば、夕日がずいぶん沈んでいる。

もうすぐ水平線の向こうに、消えてゆくだろう。

ピーターは防波堤から飛び降りると、蘭の手を取った。

蘭は今度はためらうこともなく、自然にピーターの助けを借りて飛び降りた。

ぎこちなく、手を離す。

そんな蘭を見て、ピーターは愉快そうに笑った。

促すように蘭の肩に手を添え、歩き出す。

蘭も少し遅れて歩き出した。

無言で歩いた。

でも、苦痛ではない。

なんとなく、無理をしなくてもいいような気がした。

ピーターなら、そんな自分でも受け入れてくれるのかもしれない。

そんな気がした。



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