流れ星を探して
第3章 雨が降る風景
雨がしとしとと降っている。

梅雨特有のジメジメとした暑さはなく、空気はひんやりと涼しい。

――土曜日の午後。

蘭は自分の部屋の窓から、ぼんやりと外を眺めていた。

高台にあるこの家からは、海が見渡せる。

今日は低く立ち込めた厚い雲が、白く煙った水面との境目をわからなくさせていた。

ピーターに出会ってから、2週間が過ぎた。

ピーターは本当に毎日、学校帰りに海岸通りにやって来た。

そして、蘭としばらく一緒に時を過ごし、家に送り届けてから帰る――。

そんな毎日を繰り返すうちに、季節は雨をつれてきていた。

この数日で、蘭はずいぶんピーターと、打ち解けて話すことができるようになっていた。

少しずつ言葉が増えていく蘭を、ピーターは優しく見守っているようだった。

土曜日と日曜日は、ピーターに会えない。

帰る時に、特に約束もしないで別れる2人だから、学校がない日は会えないのだ。



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