流れ星を探して
海岸通りに出る角を曲がると、蘭は立ち止まった。

通りには、人影がない。

――ほら、やっぱり。

いるわけない。

蘭はガッカリした。

そのまま帰る気にもなれず、蘭はゆっくりと歩き出した。

雨のせいか海はどんよりと濁り、沖のほうでは白波が立っている。

――今日は荒れている。

私の心みたいだ。

蘭は思った。

しばらく歩いて、蘭は立ち止まった。

岩場に降りる石段がある防波堤の切れ間から、青いものがのぞいている。

――傘?

蘭はゆっくりと近づいた。

誰かが青い傘をさして立っているのだ。

青い傘と後ろ姿が見えるだけで、顔は見えない。

足音に気が付いたのか、その人が振り返った。

「蘭」

「ピーター」

2人の声が重なった。



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