流れ星を探して
「どうして……?」

「ここに来たら、蘭に会えるような気がして」

と、ピーターは笑った。

「蘭は?」

「私も……会えるかと思って……」

と言いながら、蘭は傘を両手で握りしめた。

嬉しさでどうにかなりそうだ。

こんな気持ちになるなんて。

私が、誰かを好きになるなんて――。

不思議な気持ちだった。

と、突然。

ピーターは黙って蘭に近づくと、蘭の背中に腕を回して抱き寄せた。

「……!」

蘭は驚いて声も出せなかった。

ピーターが手放した青い傘が、ゆっくりと回転しながら足元で止まった。

「会いたかった」

ピーターが耳元で呟いた。

それを聞いた瞬間、蘭の胸に熱く込み上げてきたものが涙となり、止めどなく溢れた。

蘭もいつしか傘を放し、ピーターの背中に両手を回していた。

大きな背中。

温かい胸。

言葉に表せないほどの安心感に包まれて、蘭は目を閉じた。



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