流れ星を探して
「蘭は友達いないの?」

蘭はドキッとした。

いないなんて答えたら、根暗な女の子だと思われるだろうか。

でも、嘘をついても仕方がない。

「いないよ」

「どうして?」

「1年生の時はいたの。でも私、人見知りするし言いたいことも上手く言えなくて……。最初は周りに合わせて話したりふざけたりしていたんだけど、なんだか疲れちゃって……」

ピーターは黙って聞いていた。

「本当の私に戻ったら、誰もいなくなっちゃった」

と、蘭は寂しそうに笑った。

「それでいいんじゃない?」

と、ピーターは言った。

「無理に合わせる必要なんてないよ。ありのままの自分を受け入れてくれる人は、必ずいるから」

「――うん。ありがとう」

蘭はうなずいた。

「ぼくも無理してた。久しぶりの日本は、なんだか溶け込めなくて」

「そうなの?」

「日本語が話せれば、上手くいくものでもないよ」

意外だった。

いつも笑顔でいてくれるピーターにも、悩みがあるのだ。



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