流れ星を探して
深く、青みがかった黒い瞳。

屈託のない無邪気な笑顔と、吸い込まれそうな瞳に、蘭は思わず見とれてしまった。

どれくらい見つめていたのか、蘭はハッと我に返ると、慌てて手を引っ込めた。

「ご、ごめんなさい!」

蘭は立ち上がると、膝に顔がくっつきそうなくらい、頭を下げて謝った。

それからそのままくるりと向きを変え、蘭は走り出した。

「あっ!ちょっと!――Hey!」

背後で呼び止める声がしたが、蘭は立ち止まることができなかった。

顔が燃えそうなくらいに熱い。

きっとりんごのように、赤くなっているに違いない。

あんなに、バカみたいに見つめるなんて。

恥ずかしくて、消えてしまいたい!

蘭は息が切れるまで、走り続けた。



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