龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
「落ち着きがないこと」

容子オバサンが嫌みったらしく言う。

「僕が悪いんですよ。さっきちょっと悪ふざけが過ぎたようだ」

「悪ふざけ?」

「少しばかり親愛の情を示したんですが、志鶴には刺激が強すぎたみたいですね」


容子オバサンは咳ばらいをした。

「圭吾さんのような方には志鶴さんでは物足りないのではなくて?」


「そうでもないですよ。思い通りにならないのがこんなに楽しいと思ったことはありません。口説きがいがある」


わたし、く……口説かれてる訳?


「まあ、結婚する頃にはもう少し大人になるでしょう」

「目新しさなんてすぐに薄れますよ。そういう純真なお嬢さんはそっとしておいておあげなさい。それより、うちの梓との事を真剣に考えてもらいたいわ」

「その縁談は、毎年真剣にお断りしているはずですが?」

「うちの梓のどこが気にいらないっていうの?」

「申し訳ないが、抱く気になれません」


そこ大事だけど、そんなにはっきり言わなくても……
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