龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
「まったく! なんでみんなパワースポット巡りなんてしたがるんだ!」

圭吾さんが忌ま忌ましそうに言った。


「世間の流行らしいぜ」

「まさか病院にも行けって言うんじゃないだろうな」

「その『まさか』だ」

「勘弁してくれよ。僕はデート中だ」

「いまさら? 同居してるなら毎日がデートだろ?」

「だからお前は女にモテないんだよ」


「圭吾さん」

わたしはつないだ手を引っ張った。

「わたしのことなら後回しでいいよ。お仕事でしょ?」


「ダメ」


ダメって……


「今日は志鶴を優先する日だ。君は物分かりがよすぎるよ」


それは嬉しいけど……ねぇ


これは羽竜家の本来のお仕事だなんだよね


どうしよう

邪魔したいわけじゃないのに
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