龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】

「〈鬼の首塚〉って本当に鬼の首が埋まってるの?」

テレビ局の人達が入院している病院へ向かう車の中で圭吾さんにきいた。

「実際は違うよ。古い地霊が封じられている。神社の龍神より古いものだ」

「悪い霊?」

「善くも悪くもないよ。ただ古いものはたいていそうだが、生き物の力を取り込んで大きくなろうとするんだ。心に弱い部分があると引き込まれてしまう。だから封じている」

「引き込まれたらずっと眠ったまま?」

「普通の人間はすぐに目が覚めるよ。問題は中途半端に霊能力のある人間で、能力が首塚の地霊に癒着しやすい。そのまま同化してしまう事もある。そうなれば助けられない」


『助けられない』とどうなるんだろ。


聞くのはためらわれた。


「圭吾さんは大きなものを背負っているのね」

「ああ。だから志鶴は僕を助けてくれ」

「どうやって?」

「ずっと僕の側にいて」

「分かった」



いるわ


ずっと ずーっと 圭吾さんの側にいる

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