龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
圭吾さんの肩越しにお巡りさんと目が合った。


えっ? あら

どうしてそっちが赤面するの?


「そいつを見るな」

圭吾さんが不機嫌そうに言って、わたしを自分の体で隠してしまった。


「じゃ、もう行くから」

圭吾さんがお巡りさんに言う。

「明日また来てみるよ」


「おい圭吾、俺には絶対紹介しない気か?」

「必要ないだろ」

「他の兄弟はみんな紹介されてるのに?」

「巧(たくみ)には会わせてないぞ」

「会ったって俺に自慢してた」

「志鶴?」

圭吾さんがわたしをジロッと見下ろす。

「悟くんのお兄さんの巧さんの事?」

「そう」

「悟くんと遊んでる時に偶然に。一度だけ」

「聞いてない」


だって言ってないもの


「悟が一番自慢してるよ。自分は友達だって」

「悟はいいんだよ。僕から友達になってやってくれって頼んだんだから」


わたし知ってる

圭吾さんが陰では『友達』じゃなくて『子守』って言ってるの

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