龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】

わたし達が病院に着くと、要さんが玄関で待っていた。

「司はどうだ?」

「俺がちょっと探ってみたが兄貴の意識まで届かなかった。ありゃ深くまで行ってるな」

「全く! 無理はするなと言ったのに」

「今、優月ちゃんが付いてるけどかなり動揺してる」

要さんはわたしをチラッと見た。

やっぱりわたし邪魔かなぁ

わたしが来たって何の役にも立たないのに、圭吾さんに引っ張られるようにして来てしまった。


この前と同じ入院病棟に行って、今度はわたしも病室に入った。

ベッドの脇に立っていた優月さんが、『圭吾!』って呼んで、圭吾さんにすがりついた。


ちょっと!

わたしの圭吾さんよ!


ムッとしたけど言える訳もなく、慰めるように優月さんの肩を抱く圭吾さんに怒る訳にもいかない。

圭吾さんは優月さんが好きなんだもの

家にいればよかった

要さんがまたわたしをチラッと見るので、『仕方ないわ』って肩をすくめてみせた。


「じゃちょっと見せて」

圭吾さんは優月さんを少し後ろに下がらせて、ベッドに横たわっている司さんの額に手を当てた。


わたしは入口横の壁にもたれかかって病室の中を見回す。


あーあ

優月さんってどうしてあんなに綺麗なんだろ
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