龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
あれ?

今、窓の外 光らなかった?

気のせいかなって思った頃に、かすかに低い音がした。

雷だ

夕立が来る


やばい……

圭吾さんには前に雷が苦手って言ったけど、実はわたし雷恐怖症なんだ

雷が近づいてくると思っただけで冷や汗が出てきた。

静かにこっそりと病室を出る。

廊下に出てため息をついた。


だいじょうぶ

ここは鉄筋の建物だもの安全だわ

――って、呪文のように毎回自分に言い聞かせるけど、あんまり役には立たない


どこかに隠れなきゃ

具合が悪くなる前に

誰かに迷惑かける前に


うわっ、近い!


大きな雷鳴がして、わたしは廊下にズルズルとへたりこんだ。

歩けない

どうしよう

冷や汗が出て、吐き気がした。

怖い

怖い

怖い

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