龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
雷鳴の大きな音に混じって、何かを引きずるような音がした。

深い暗闇が廊下を這ってくる。

圭吾さん達のいる病室の方からズルズルとこっちにやって来る。


捕まってしまう!

圭吾さん! 圭吾さん! 圭吾さん!

助けて!


実際に叫んだのかもしれない


わたしの名前を呼ぶ圭吾さんの声がする。


わたしを抱きしめて

そうしたら何も怖くない

でも

間に合わないわ きっと

圭吾さんが走って来る前に、暗闇がわたしの足をつかんでしまう


『あんたは一人ぼっちだよ』


陰うつな声とともに暗闇がわたしを取り囲んだ




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