龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
薄闇の中で

「志鶴さん! 志鶴さん!」

揺さぶられて気がつくと、どこか薄暗い場所にいた。

「気がついたかい?」

「……校長先生?」

司さんだ

ってことは、わたしも〈首塚〉に引っ張られた訳?


「先生、ここって?」


「〈鬼の首塚〉の地霊の内部だよ。わたしはともかく、なぜ君がここに?」


「先生が倒れたって聞いて圭吾さんと病院へ行ったんです。そこで夕立があって、わたし雷恐怖症なもんで……引っ張られちゃったみたい」


「ああ、なるほど。今頃、圭吾は怒り狂っているだろうな」

司さんはため息をついた。

「圭吾に頼み事をされたのは久しぶりだったから、つい無理をしてしまった」


そうだったんだ


「圭吾さんは心配してるとは思うんですけど怒りはしないでしょう?」


あれ? 沈黙?


「志鶴さんには怒らないだろうね。あの可愛がりようでは」


うーん

どうもわたしと他の人が見る圭吾さんって違うみたい
< 61 / 86 >

この作品をシェア

pagetop