龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】

悟くんのいたところに今度は圭吾さんが座った。

胸がドキンとする。

悟くんの時は平気だったのに。


「容子オバサンと梓さん、帰った?」

「ああ、ご丁重に送り出したよ」

「わたし、ちゃんとご挨拶しなかったけどホントによかった?」

「いいんだよ。志鶴は静養中って事になってるんだから」


ここ数日、圭吾さんはそれを口実に自分の部屋にわたしを閉じ込めてる。

庭には出られるんだから閉じ込めてるって言わないのかな?

とにかくおかげで夏休みの宿題だけは終わった。


「それに、また来るって言ってたしね」


ターミネーター?

それに近くはあるけど


「ねぇ圭吾さん、そろそろお出かけしちゃダメ?」


圭吾さんはわたしを横目でチラッと見た。


「悟と?」

「悟くんよりも、圭吾さんとお出かけしたいんだけど」

「どこ行きたい?」

「うーん、とりあえず映画。それと、花火大会に連れて行ってくれる約束よ?」

「忘れてないよ」


圭吾さんが手を延ばしてわたしの髪に触れた。
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