龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
勢いに圧倒されて圭吾さんの後ろにおずおずと隠れた。


「ちょっとぉ、かわいすぎる!」

「いやぁ圭吾くん、いい趣味してるわ」


「じゃ僕らはもう行くんで、後はご自由に」

圭吾さんはぶっきらぼうにそう言うと、わたしを抱えるように連れ去った。


「まいった。だいじょうぶか、志鶴?」

「今のは何?」

「彩名のにぎやかな友達連中さ。昔っからの知り合いだから、何バラされるかヒヤヒヤする」

「バラされて困る事あるの?」

「たくさんね」

「圭吾さんは自分の事あまり話さないよね」

「自慢できるような人間じゃなかったから。志鶴には志鶴が知っている僕だけ見ていてほしいんだ」

「今は自慢できるから?」

「いくらかまともになったからさ」


人込みの中、はぐれないように圭吾さんの腕にしがみついて歩いた。


「わたしは圭吾さんが好きよ。それに信じてる」

「僕の何を?」

「圭吾さんもわたしを好きで、絶対にわたしを傷つけたりしない」

「そう言ってもらえてすごく嬉しいよ。でも、そう言う割にすぐ逃げるのはどうしてかな?」

「だってびっくりするんだもの」

「臆病だな」

圭吾さんは、からかうように言った。



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