三週間恋愛
日常生活の異変
「ねえ!今日来る研修生イケメンらしいよ!」


移動教室途中に話し掛けて来るのは、親友の1人の愛美だった。
「梨乃!行ってみよ!」
そう言って私の制服の袖をグイグイと引っ張る。「え?研修生って?」
研修生って何の事…?
そんなの聞いてないよ。
「今日先生言ってたよ?もしかして梨乃!また聞いてなかった!?」
「そのもしかしてです…」
人一倍、話を聞くのが苦手な私はまた聞き逃してしまったみたい。
「いいから行ってみよ!」
愛美は階段を昇り始めた。実は今、左足傷めてるんだよね…。
「あ、梨乃怪我してたんだった。ごめん!」
「大丈夫だよ。ありがと」
愛美って優しいなあ…。
と、つくづく思う。

階段を昇り終えると廊下には人だかりができていた。「あそこだあ!」
目を輝かせながら、愛美は立て付けの悪い戸の隙間から中の様子覗いた。
…一体どんな人なんだろ?俳優系?アイドル系?
皆が口を揃えてイケメンと言うのだから、きっとイケメンに違いない。
愛美が私を手招きして呼び寄せる。
私はそっと中を覗きこんだ。
そこには、黒いスーツを着た若い男の人。
私が更に覗き込んだ時…。視線がぶつかった。
「梨乃どう思う?」
「あ〜、イマイチかな。」
あんまりよく見えなかったけど…。
「だよねえ!うちも思った。」「あはは、行こっか?」
そう言った途端、学校中に予鈴が響き渡る。
ヤバイ。先生に怒られちゃう。でも、こんな足じゃ走れっこないし…。
はぁ……ついてないな私。きっと愛美も迷惑だよ。
「梨乃ゆっくりいこ?」
と、親友の助け船。
こういう友達をもった私はきっと幸せ者だ。
「あ、ありがとう」
そういうと、愛美は少し微笑んだ。

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