霊務・ザ・ファイナル(霊務4)
「でもさ~オッサン。サキどうしちゃったんだろ? あんな事する人だっけ?」
「……」
そう礼子に言われると、何も答えず考え込む。
確かに、理由がなきゃおかしい。
そうでなければ、あのサキがあんな事するワケがない。
黒ガラスに弱み握られてるか? 人質でも取られてるか……
そんなとこであろう。
「オッサン~そんな考えても無駄無駄。サキは敵。それだけだよ」
「ヒドいよ礼子君! きっとサキさんは何か理由があって……」
そう言っても、礼子は首を振る。
「オッサン、女を分かってないね~~急にコロッと変わるもんだよ?」
う~~
何と言われようとも、そうでないと信じたいとこだ。
すると、珍しく眠り猫は急かすように礼子に言った。
「よく分からんが、お前達の仲間かニャ? それを確かめる為にも、古峰ヶ原高原に行こう。元仲間と戦うのを躊躇うなら、我が輩が倒すから」
流石に家康公の事になると、真面目に動き出す眠り猫。
しかし、眠り猫の持ち味はこの桁外れのスピードにあるが、速ければ速い程空間を冷やす事が出来るサキとは相性が悪い。
そのスピードゆえ、結露した水滴を助勢して凍るからだ