霊務・ザ・ファイナル(霊務4)

負けない……








負けられない……











ここで負けたら徳川が……

いや、5LDKが……











理想の住まいと、しっかりとした建築で将来安心設計したい夢をこんな所で終わらせるわけにはいかない!











バ!










礼子は氷の下敷きから這い蹲りながら逃れると、力を精一杯溜め始めた。











ゴゴゴゴ……!!










その影響か、天には黒い雲が渦を巻き稲光を漂わせ始めた。










天変地異の前触れのようである。












「凝縮したように、素早く……素早く……」










礼子は何やら頭で想像し、ブツブツと呟いた。











サキはそれをお構いなしに、周りの気温を更に一段と下げた。











それは草花を凍らせ、空気さえも固まらせる無音の世界と化す。











「凍っちまいな! 叶礼子!」











その手から雪や凍りなどが混じった突風が、礼子に襲い掛かった!

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